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三好徹「興亡三国志」
集英社文庫全5巻[1/2/3/4/5]

こんな素敵な詩を書いた人物が仇役のような人生を過ごした筈はない!! と曹操の詩を読んで思った作者が渾身の力を込めて描く曹操を中心にそえた壮大な歴史ロマン!! らしい。全部読み終えての感想は、「とっても曹操に優しい三国志演義」。私のような曹操ファンには結構お薦め。
ただ、曹操メインと銘打ってるだけあって、曹操が死んでからはSWEET三国志五巻並に怒涛のように話が進んでしまい、司馬懿は全然目立ってない……。孔明すら余り目立ってない。

作者オリジナルの話に正史も少し混ぜて、演義を新しく解釈したらしいんだけど、途中で力尽きたのか飽きたのか、途中から普通に演義そのままの展開に……なので、目新しさには欠ける。ただ、かなり人物描写が細かくてしつこい上に、会話が現代っぽくて読みやすいので、物語的な面白さはある。
最初は凄く良かったのよ。曹操の描写にやたら「小柄」「チビ」「見栄えがしない」を連呼するのはどうかと思ったけど(少しは濁してやれよ三好先生!!)、劉備との出会いシーン(無実の罪に問われて引っ捕らえい! 僕じゃない僕じゃない!)状態の大耳野郎劉備を「ちょっと待ちたまへ!」と助ける小柄な影……身長161cmの英雄曹操サマだ!)も新鮮だったし、何故か曹操の弟と化している曹仁と曹洪が「兄上ぇぇ、一生ついて行きます」状態で、夏侯ブラザーズと共にやたら親族意識が強いところが気に入った。董卓の暗殺失敗で洛陽からトンズラする曹操は、兄弟従兄弟を集めて「みんな散り散りに逃げるんだ。**で再開しよう!」なんて言ってるし。また会おうぜブラザーですよ。なんなんすかこの親族の絆は!! と曹&夏侯一族大好きな私はかなりコーフンしたわけだが。
こんな感じに、初めの方はオリジナル色が強くて面白いんだけど、後半が……。でも、全体通して見て、やはり曹操ファンには読む価値アリ。


>> 主な登場人物の描かれ方
曹操 身長161cmの英雄。やたらに孫子やら故事を引用して、夏侯惇の気持ちを詩にしてあげたりとインテリ節炸裂。冷静沈着、天下を平定して良い世を作ることを心から願ってる模様。身内愛が人一倍強い。だから親父殺されたら徐州殺戮紀行やっちゃう。でも呂伯奢一家殺害事件は魏書に沿ってて、曹操的には正当防衛だったりする。結構いろんなことで悩む。きちんと人間くさい。
夏侯ブラザーズ 特に惇が張飛並にアホっぽい。めちゃめちゃ大群が来てると言うのに「そんなのオレの武勇で蹴散らしてやりますよ」とか平気で言う。曹操苦笑、みたいな。こんな無邪気な盲夏侯、新鮮!!!
ホウ統 あんまし目立ってない鳳雛(いつものことだけどさ…)。演義準拠だけど、連環の計はしない。孔明ととっても仲良し。
劉備 結構いい子ちゃん。演義だしな。
今思い返すと呉の人を殆ど覚えてない。アレー